十和田市方面から車を走らせ、焼山や十和田湖温泉郷に入る手前にある駐車スペースに車を停め、緩やかな階段を上ったすぐ先に、国の天然記念物に指定されている「法量のイチョウ」があります。
推定樹齢1100年、日本の平安時代に生を受けた全国的にも五本の指に入る大イチョウです。
こちらの看板が目印です。
本芸術祭では、旧笠石家住宅にある志村信裕さんの「Pierce」と、山本修路さんの「Re-reading the Landscape」で、この巨樹を作品のモチーフにしています。
志村信裕「Pierce」
山本修路「Re-reading the Landscape」
法量のイチョウから国道を挟んだその先に、旧笠石家住宅が目に入ります。
法量のイチョウは、乳房状の突起である気根が多く垂れていることから「乳もらいのイチョウ」とも呼ばれ、母乳の出ない女性たちの信仰の対象にもなっていました。でも、実はこのイチョウは雄株なのです。
まるで龍のようにも見える、横に張り出した太い幹からも気根が大地に向かって伸びています。
全ての葉が黄に色づく前、氷点下の気温の日があったためか、ほとんど緑の葉の状態で落葉してしまいました。イチョウは一斉落葉することで知られていますが、今年は一面緑色の絨毯になっていました。
こんなに大量な葉が一斉に落葉すると、ドサドサという音が聞こえてきそうですね。
樹高32メートル、幹周り14.5メートル、枝張27メートルという荘厳なたたずまい。
葉がすべて落ちると、生命力にあふれたこの巨樹のエナジーの源があらわになるような気がします。一種のパワースポットのようですね。
葉が茂っている季節には、見上げると森のようにも見えます。
十和田湖伝説に登場する南祖坊手植えのイチョウとの伝承もあります。
根元の切り株のくぼみに、可愛らしい杉の未生が育っていました。
国道から歩いてすぐ立ち寄れる「法量のイチョウ」、会いに行ってみてください。
Write:Terui