十和田市が目指す ユネスコエコパーク講演会開催

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11月19日(火)十和田市が目指す、ユネスコエコパークの具体的な内容について、講演会が開催されました。小山田久市長を含む関係者約80名が聴講しました。

ユネスコエコパークは、「生態系の保全と持続可能な利活用の調和」を目的としています。世界自然遺産とは異なり、保護•保全だけでなく自然と人間社会の共生に重点が置かれています。登録に伴う新たな法規制が生じないのが特徴です。

ユネスコエコパークは次の3つの機能を相互に強化していきます。
1)保全機能(自然を守る)
2)学術的支援(調査、研究を支援する)
3)経済と社会の発展(自然を利用する)

世界117ヶ国、621地域が認定(平成25年5月現在)されており、国内では屋久島、大台ケ原・大峰山、白山、志賀高原、綾町の5ヶ所が認定されています。

第一部では、ネイチャーガイド河井大輔さんが、「『小さな自然を観る旅』が十和田観光を変える – 奥入瀬フィールドミュージアム構想- 」と題し講演しています。

奥入瀬の魅力と価値は、
Q(クオリティ、上質な自然)‐上質な渓畔林&ブナ林、貴重な自然河川、天然の「苔庭」
T(快適なトレイル)‐適度な整備、水面とほぼ同じ大きさ、上流・中流・下流と変化
A(便利なアクセス)‐国公特保内に利用域(歩+車道)、交通の利便性、人の生活圏に近い
にあるといいます。

これらの要素に加えてその魅力を伝える優れたガイドが必要。そしてエコツアーガイドは、デザイン、ストーリー、スタイルを伝えられるキュレーターの資質を持っていなければならないといいます。

ちなみに河井さんは、馬門岩から雲井の滝までの1.5キロを150分かけ、約60~70の話題を織り交ぜてじっくりご案内するそうです。

これらの価値を踏まえた上で、季節を問わず滞在してくれる奥入瀬のファンづくり、奥入瀬のブランド化が必要。現在奥入瀬を訪れる観光客は、通過型(見流し型)がほとんど。観光のピークの季節以外にも、通年通して訪れてくれる滞在型のファンをふやすべきで、誰を呼び込む観光地を目指すのか、その答えは明確ではないかといいます。

足元に点在するミクロの苔などの隠花植物や八甲田連峰などの景観、アクセスの良さなど含めたお宝、A級の自然をしっかり分析し、ミュージアムセンター含めた拠点の整備など、奥入瀬フィールドミュージアム構想への展開へ繋げたいとしています。

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続いて第二部では、横浜国立大学准教授 酒井暁子さんが「エコパーク・人と自然が共生する社会の実現を目指して」と題して講演しました。

ユネスコエコパークの詳細に加え、奥入瀬エリアの環境や置かれている状況に近い海外の事例、エコパーク承認に向けて大切なことなど紹介しました。

Write : Terui