ひと:得意分野を活かしあって「出来なかったことが出来るうれしさ」を広げていきたい miu.laboさん

まとちゃん

思わずほっこりしてしまう手づくりの雑貨ってありますよね。
上の写真は、MarcheArtsTowadaなどの十和田市内のイベントやお店などで定番といっても過言ではない人気の雑貨「マトちゃん」です。

色々なタイプの「マトちゃん」があります。
まとちゃん2
トマトをモチーフにした「トマト マトちゃん」。

他にも同じ制作者による、ただかわいいだけでなく、ちょっとおもしろくて笑顔になってしまう雑貨たち。
こけし2
下の雑貨は、「よっぱらいおやじ」という名前。独特のセンスを感じます。
酔っ払いおやじさん

今回のまちねた部は、とってもかわいい雑貨を生み出す、十和田市在住のクラフト作家 miu.labo(みうらぼ)さんにインタビュー。
さらに、雑貨制作の実演もしていただきました。
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■「miu.labo(みうらぼ)」という作家名の由来は何ですか?
―――「miu」というのは高校生のときからのあだ名です。「labo」はラボラトリーという意味。秘密基地のような要素ですね。
もともと、高校生時代から友人を巻き込んでグッズをつくるというのが好きでした。
音楽づくりが得意だったり、作文が上手だったり、日本舞踊を習っていたりしている友人達がいて、その子達と架空の会社をつくって遊んでいました。
それぞれの得意分野を活かしてわいわいやってました。

具体的に言うと、「子持ちししゃも」の歌やグッズをつくったりしていました。
なんか「子持ちししゃも」っていう言葉の響きがおもしろくて。
私は、クロステッチという刺繍で巾着をつくっていました。友人たちは音楽や踊りですね。
みんなでわいわいやって楽しんでいるような高校生でした。

■なるほど。ちょっと変わったくすって笑える雑貨のルーツは高校生時代なんですね。
それでは、クラフト作家として、これまでつくってきたものを教えてください。

―――地元企業とコラボした反射材を使ったブローチ型の安全グッズ、
反射材ブローチ
とんがりニット帽、
帽子hana
そして、私自身大好きなこけしなどが主ですね。
こけし

実は私、こけしコレクターでもあるんです。
今度、こけし館のイベントに私のコレクションが展示されたりもするんですよ。念願の参加です。
今、こけし好きな女子「こけ女」が増えてるんですよ。

色々とつくっているんですが、その時、その時旬な雑貨があるんです。
ありがたいことにたくさんの方がリピーターになってくれて新商品を待ってくれているんです。
なので、常に新しいものをつくろうと心がけています。

ちなみに今ハマっているのはハンコです。
ハンコ
まだまだ修行中ですが…ハンコづくり楽しいですよ!

■色んなものをつくってるんですね。最初に、雑貨をつくりはじめたきっかけは何だったんですか?
―――ものづくり自体は子どもの頃からしていました。
自分の好きなものや似合うものを身に着けたかったので、自分で服などもつくっていましたし、デザイナーになりたいっていう夢がありました。
今だとアーティストという存在がいるって知っていますが、当時は「ものをつくる」ということでデザイナーを目指してましたね。
好きでやっていたことなんでけどね。

クラフト作家になるきっかけは、当時雑貨店で働いていたときにありました。
自分でつくったビーズの雑貨やアクセサリーを身につけていたんですよ。
そしたら、色んなお客様に言われるんです、「それかわいい!売ってないの?」って。
そういった声が多くて、お店のオーナーから私のつくった雑貨を置いてみようって提案があったんです。
うれしかったですね。

■最初はちゃんと売れるかどうか、不安だったんじゃないですか?
―――不安はなかったですね。気に入ってくれた人が持ってくれるっていうのがうれしかったです。
自分の思う良いもの、好きなものを共感して欲しいって気持ちの方が強かったです。
昔から、良いものをつくったり発見して発信していきたいという想いを持っていましたし。

今でも、自分のつくったものが喜ばれたりするのってうれしいです。
モスボール工房の起田さんにも、とんがりニット帽を気に入ってくれてかぶってもらっています。
応援までしてくれるのでとってもうれしいですね。

■普段の作業の様子はどんな感じなんですか?
―――一人で黙々と作業するのって好きなんです。
リビングに大きなテーブルがあるんです。テレビが大好きなので、テレビの近くのテーブルの三分の一が自分の作業場です。

娘が学校に行っている間と、娘が寝た後が主な作業時間です。
作業時間といっても、色々と打ち合わせのために外出もしています。

■母親としてやりたいことや役目もありますし、時間のやりくり大変そうですね。
―――そうですね。でも、娘の存在は大きいですね。
私のつくったものを楽しんで身につけてくれます。いいモデルちゃんですね。お客様には、同世代の子どもがいる方が多いので「子どもが欲しがっている」って言って雑貨を買ってくれたりします。

■雑貨づくりだけでなく、ワークショップの講師もされているそうですね。
―――ワークショップ講座は楽しいですよ。やりがいがあります。

昔は、今ほど雑貨づくりの情報もないし、教えてくれる人もいませんでしたから、私の場合は独学です。
つくり方の載っている本や材料、情報を求めて東京へ足を運んでいましたね。
今は、様々なワークショップ講座も増えてきていますし、物づくりを楽しむということも身近になってきたと思います。

■ワークショップ講座をやっていてうれしかったことってありますか?
―――自分自身のモットーが「やるからには楽しむ」というものなので、参加者の方が楽しみながら物づくりができるように心がけています。
参加者が、「雑貨づくりなんて自分に出来ない」って最初に思っていたのに、ワークショップ講座を通して「自分にも出来るんだ!」って思えるように変わっていくのを身近で見れるのって、とてもうれしいですよね。
何よりうれしかったのは、参加者が「ワークショップ講座の後に家でつくってみました!」と、次回のワークショップ講座のときに作品を持ってきてくれたこと。
中には、ワークショップ講座をきっかけにクラフト作家としてデビューした人もいます。
すごいですよね。

また、ワークショップ講座の内容も旬なものをつくるように心がけています。
今だとフランス生まれの「デコパッチ」ですね。水に強いので、水周りのアイテムにも使えたりします。
AVLIR(アブリル)の糸を使った指編みも人気です。京都の老舗が開発した糸で、ヘアアクセなどをつくります。
八戸でもこれらを題材にワークショップ講座を開催します
もちろん、こけしの絵付けのワークショップも黒石市であるイベントで行いますよ。

■意欲的ですね!他には、どんな活動をしているんですか?
―――ウマジンや伝承八十の会の活動をしています。
ウマジンは、取り組んでいて面白いですね。今年で二年目になります。
umagin
十和田にちなんだ馬がモチーフのかぶりものなんですが、イラストレーターの安斉将さんが、十和田の秋祭りのためにデザインしていて、名前も形もかっこいいです。
見ているだけでも、ウマジンがいると非日常のようでおもしろいのですが、かぶってウマジンになった方がもっと楽しいですよ。
最初は恥ずかしいのですが、だんだんと楽しくなってきます。そして、自分自身が気がつけば注目されアートになっているのです。

ちなみに、ウマジン2014年グッドデザイン賞一次審査を通過しています。
8月に東京ビッグサイトで行なわれる二次審査もドキドキしています。

伝承八十の会のメンバーとカラフルなプラカゴを制作しています。
プラカゴ3
基本、何かをつくるのが好きな方たちが集まってます。
中には、もともと物づくりをしていて、十和田の道の駅で販売している方もいます。
また、昔話を伝えたい、郷土料理を伝えたいといった方たちもいて、多才なメンバーが集まっています。
おもしろいのが80歳になると副会長になれるということですね。
私はまだまだですね。

関わってみて思うのは、プラカゴのつくり方やデザインを教えてに行っているはずなのに、教わることが多いということです。
プラカゴに関しても一緒に勉強している感じですし、母として子育てに関することや手仕事に関すること、生活、戦争体験など昔のお話などを教えてくれます。
勉強になります。

■さらに、十和田市現代美術館のボランティアでもあるんですよね?
―――物づくりが好きですし、得意なのでそういった面でサポートできればと考えて参加しています。
げんび~くん
というボランティアのマスコットキャラクターのデザインもしています。

もともとボランティアメンバー同士の話し合いの中から生まれたんです。
ボランティアから見た十和田市の観光を案内するペーパー「アート巡り手帳」を作成するための会議があったんですが、終盤になってくると私の役目が終わってしまって。
手持ち無沙汰なときに、さらさらっと描いたイラストがげんび~くんだったんです。
それを見たメンバーたちから好評で。そのアート巡り手帳にも登場することになりました。
手帳

アート巡り手帳の後は特にげんび~くんに関する取り組みはありませんでした。
そんな時、新しく加わったボランティアメンバーが気に入ってくれたんです。
街なかArtウォーキングなどボランティアの活動で活用したり、ボランティアのwebfacebookページで取り上げてくれたりしてくれたんです。

このげんび~くんは、アーティストの象徴のベレー帽をかぶった十和田市現代美術館の建物がモチーフになっています。
建物のコンセプトに共感して、アートと同じように色んなところに増えていけるようになれたらと思っていたので、げんび~くんが取り上げられてとってもうれしかったです。
げんび~くんのストーリーが生まれて、まちへ出かけたりしているのを見て感動しました。
これまで自分は良いものを発見して発信してきたのですが、逆に見つけられて発信されるという体験はなかったんです。うれしかったですね。

そこから人気が出て、ボランティアメンバーでストラップをつくろう!このげんび~くんの売り上げの一部をボランティアの活動費に充てられたらいいよね!という話になったんです。
私に出来る得意分野ですから、もちろん大賛成でした。
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foodpic5151795 げんびーくん
美術館にいらっしゃた方が、げんび~くんを気に入ってくれるとうれしいですね。

どの組織や集まりもそうですが、メンバーそれぞれの得意分野を活かしてやりたいことを実現していったり、出来なかったことが出来るようになると、とてもうれしいですよね。

■なるほど。最後の質問ですが、今後やってみたいことは何ですか?
―――十和田市のまちに、ものづくりのできる拠点、デザインを発信するような場所があればいいなぁと思います。

ワークショップ講座でもそうですが、体験ってとっても心に残ると思うんです。観光も体験型が人気ですし。
美術館に来てくれた人がアートに刺激を受けて熱くなった「なんかつくりたい!」という想いって、家に帰っちゃうと冷めてしまいがちだと思います。
そういった想いを熱いうちに、実現できたる場があればいいと思いますね。

また、拠点をつくることで、まちにいる人の目線でまちを盛り上げていけるのでは、と考えています。
十和田市現代美術館にいらっしゃる人って、県内をあちこち観光するために駆け足になってる方が多いと思うんです。
でも、十和田には知られていないだけで、おもしろ人やおもしろいことを考えている人たちが実はたくさんいるんですよね。
そういう人たちをもっと知って欲しいなぁ、と。

拠点に色々な人が集まれば、人と人が結びついていくと思います。
そして、お互いに得意分野を活かしていけたら、楽しそうですよね。

もちろん、大変だったり苦しいことや努力しなければいけないことも、物づくりと同じくあると思います。
でも、やるからには、自分自身、楽しんでいきたいです。

■miu.laboさん、本日はお忙しい中ありがとうございました!

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※miu.laboさん参加イベント
【津軽こけし館】
「うれし!たのし!!こけし!!!
ポケットこけしパークへようこそ!4th」
■日時:平成26年7月19日(土)~8月24日(日) 9時~17時
■場所:津軽こけし館
※アクセス・詳細⇒

【こでんてんin天空村2014-手仕事アート展-】
■日時:平成26年7月19日(土)10時~17時、20日(日)10時~16時
■場所:天空村(青森県黒石市大字豊岡字狼森27-109)
※アクセス詳細⇒

【TSUTAYA白山台 ニュータウン店ワークショップ】
7月夏休みにぴったりの講座。
<デコパッチ教室>
■日時:平成26年7月23日(水) 11時~15時
■制作時間:120分 予約者優先
<AVRILの糸あそび>
■日時:平成26年7月28日(月) 11時~15時
■制作時間:30-60分 予約者優先
※アクセス・申し込みや講習料材料費など詳細⇒

■ウマジンの詳細⇒
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お忙しい中、快く取材にご協力いただきましてありがとうございました。
【取材】土井太陽【写真】土井太陽、作品はmiu.laboさんよりお借りいたしました。【文章】土井太陽