十和田奥入瀬芸術祭が終了した。という実感はない。
むしろあらゆることが多層にはじまったと感じている。
もちろん地域に様々な活動が発生することを促す役割も想定はしていた。
しかし個人の想像力を超えて、様々なレベルで同時多発的にここを起点として、あるいは変化のきっかけとして、数々の活動の連鎖が始まりつつある。
今回の十和田奥入瀬芸術祭は地域における芸術祭の在り方そのものを問いかけるものでもあり、作家があらゆる角度から地域にかかわる実験でもあった。
作家が様々な可能性を創出した一方、運営面では多くの課題も露呈した。
それがゆえに次への活動のイメージが広がりつつある。
今回の芸術祭のもたらした様々な意味は、それにかかわった多くの関係者が、あるいは鑑賞者などの第三者も含めそれぞれが、次に何を行ったかによって変化してくる。
今後の動きに注目し、2013年の十和田奥入瀬芸術祭の体験者・目撃者としての誇りがはぐくまれてゆくことを願っている。
十和田奥入瀬芸術祭 アーティスティック・ディレクター 藤浩志